ホーム > PCB廃棄物対策 > PCB廃棄物関連特設ページ > 残留性有機汚染物質「POPs」(環境省)

POPsについて知っていますか?

化学物質の中には、環境中で分解されにくく、生物体内に蓄積しやすく、地球上で長距離を移動して遠い国の 環境にも影響を及ぼすおそれがあり、一旦環境中に排出されると人体に有害な影響を及ぼすおそれがある ものがあります。このような性質を持つ化学物質は通称POPs(ポップス)と呼ばれています。POPsとは残留 性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)の頭文字をつないだ略称(語尾のsは複数を示していま す)で、例えば、ダイオキシン類(POPs条約では、ダイオキシン類については、PCDDs、PCDFsを2物質と数 えています)やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、DDTなどの化学物質が挙げられます。 我が国ではPOPsの製造・使用を既に法律で原則として禁止していますが、POPsの中には、製造しなくても 意図せず生成してしまうものがあります。また、海外では、現在もPOPsを使用している国や、POPsによる環 境汚染について十分な対策を取っていない国があります。さらに、POPsが地球上で長距離を移動することか ら、POPsをこれまでに製造・使用したことがない地域でもPOPsによる汚染が見つかっています。例えば、PC Bを製造したことも使用したこともないアラスカなどに住むイヌイットの人たちの血液からもPCBが検出され ています。このように、国境を越えてPOPsが移動してしまうという問題が生じています。 そこで、1990年代から国際連合などを中心に、各国が協力してPOPs対策に取り組むための話し合いが始 められ、2001年5月にスウェーデンのストックホルムで、環境中での残留性が高いPCBなど12物質の削減や廃絶などに向けた「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が 採択されました。 この条約は50ヶ国が締結すれば発効となり、2004年2月17日に50ヶ国目が締結したことにより、同年5月 17日に条約が発効しました。なお、日本は2002年8月にこの条約を締結しており、2004年5月現在で日本を 含む59ヶ国が締結しています。 条約では、各国がとるべき対策として以下のことを定めています。 1. アルドリン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、クロルデン、マイレックス、トキサフェン、ヘキサクロロベンゼン、PCBの9物質については、製造・使用・輸出入を原則禁止。DDTについては、マラリア 予防の必要な国以外での製造・使用を原則禁止。 2. 意図せず生成してしまうダイオキシン類、ヘキサクロロベンゼン、PCBはできる限り廃絶すること を目標として削減。 3. POPsを含むストックパイル(在庫)や廃棄物の適正管理および処理。 4. 上記項目の1~3などのPOPs対策に関する国内実施計画の策定。 5. 条約に記載されている12物質と同様の性質を持つ他の有機汚染物質の製造や使用を予防するた めの措置、POPsに関する調査研究・モニタリング・情報提供・教育、及び途上国に対する技術・ 資金援助の実施など。 (意図的生成物と非意図的生成物) POPsの中でもアルドリン、DDTなどの化学物質は、農薬、衛生害虫の駆除剤などの製品として使用する目的で製造され たものです(意図的生成物)。これに対し、例えば、ダイオキシン類は意図的に製造されるものではなく、炭素・酸素・塩素など を含むものが熱せられるような過程などで、目的外の副生成物として意図せず生成してしまうものです(非意図的生成物)。 なお、ヘキサクロロベンゼンとPCBは意図的生成物として製造される場合と非意図的生成物として生成してしまう場合の 両方があります。

pcb

日本国内のPOPsによる汚染はどのように把握されているのでしょうか?

POPsの環境中(大気・水・底質・生物)濃度は、1970年代~80年代半ばより定期的に測定されています。

pcb

諸外国の取り組みと動向

POPsは環境中でどのように
移動するのでしょうか?

POPsは環境中で分解されにくいため、例えば、発生・使用時に飛散したり、使用後に揮発したりして空気中に拡散したものが、大気循環で極地に向って移動し、冷たい空気に触れることで凝縮して地上に降下することが考えられます。このようにして、赤道地方で環境中に放出されたPOPsが、中緯度地方や極地方へと長距離を移動し、地球全体に広範囲に移動拡散する可能性があるのです。
 また、生物への蓄積性が高いため、環境中に大量に排出されなくても、食物連鎖による生物濃縮によって高次の捕食者である海産ほ乳類などの体内に蓄積することが心配されています。実際、バイカル湖に棲むアザラシや北太平洋およびインド洋に生息するアホウドリなどの体内からダイオキシン類が検出されています。

POPsは野生生物に
どのような影響を与えるのでしょうか?

POPsは環境中で分解されにくく、また、水に溶けにくく油脂に溶けやすい性質を持っています。そのため、生物の体内に取り込まれたPOPsは、排泄されずに脂肪に蓄積しやすく、さらに食物連鎖を通じて次の捕食者の体内に移行すると、生物濃縮によりさらに濃度が高くなります。
 したがって、急性毒性はそれほど強くなくても、長期間の摂取により生体内に蓄積し、生殖器異常や奇形の発生などをもたらす可能性があると指摘されています。  今後、POPsの野生生物への影響についてさらに研究が進むことが期待されます。

国内ではどんな取組が
行われているのでしょうか?

日本国内では、環境省などの関係府省が連絡を取り合って、POPs対策を進めています。具体的な対策としては、以下のような取組を行っています。
 POPs条約で掲げる物質の製造、輸入及び使用の禁止については、非意図的に排出されるダイオキシン類を除く全ての物質について、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)や農薬取締法(昭和23年法律第82号)などにより規制しています。
  ごみ焼却などに伴って発生するダイオキシン類など非意図的生成物については、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)に基づき、排出規制を行うとともに、各発生源別のダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)を整備し、平成12年9月には我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計 画を策定するなど、様々な対策を行っています。
 また、ストックパイルや廃棄物の適正な管理及び処理については、次のような取組を行っています。
 使用が停止されて回収・保管されているPCB廃棄物については、保管、処分等についての規制や処理体制の整備などを目的としてポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理に関する特別措置法(平成13年法律第65号)を制定し、平成28年までにPCB廃棄物を処分するものと規定するとともに、平成15年4月にはポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画を策定し、広域的な処理体制の整備を進めるなど、必要な対策を講じています。
 また、過去に埋設された廃農薬による環境汚染が生じないように平成13年12月に「埋設農薬調査・掘削等暫定マニュアル」を策定し、適切な管理がなされるよう指導しているほか、無害化処理技術の検討を進めています。  環境中のPOPsによる汚染状況の把握については、国内におけるモニタリングを、大気、水、底質、野生生物などについて定期的に行っています。  この他、POPsに関する情報整理、対応技術の整備などを積極的に行っています。

処理濃度基準
(処理後濃度)
処理状況 処理施設(処理能力/年)
アメリカ 50ppm
(2ppm)
焼却処理が中心であったが、近年は 化学処理も有。
1929~1975の使用量570,000t(PCB油)
平成6(1994)年は、保有量 25,000t、処理量843,000t(PCB廃棄物
焼却 4施設
化学 15施設
カナダ 50ppm
(2ppm)
高濃度PCBは焼却、低濃度は化学処理。
1996年の報告では、使用中9,732t(高濃度)、PCB廃棄物保 管量135,000t(液状物、トランス、コンデンサ、 汚泥等)、焼却処理量10,013t(高濃度)。
焼却 2施設
(43,000t)
化学 10施設
イギリス 50ppm 50ppm以上の高濃度のものは焼却処理。
10~50ppmは焼却又は化学処理
焼却 3施設
(9,500t)
ドイツ 10ppm以上
(10ppm)
1993年のPCB及びPCB汚染物処理量(高温焼却及び地下処分)液状13.2万t、固形状12.5万t 焼却 5施設
22,250t/年
フランス 50ppm以上
(50ppm)
焼却の他、化学処理も有。
他国のPCBの輸入・処理も実施。
焼却 3施設
(35,000t)
化学 1施設
(2,000t)
オランダ 5ppm以上
(1ppm)
高温焼却が中心。 焼却 2施設
(5,660t)
オーストラリア 50ppm又50g以上 濃度の高いものは、高温焼却方式を断念し、化学処理を実施.低濃度のものは、焼却又は化学処理 化学 7施設
(5,400t)
日本 設定無し
特別管理産業廃棄物
(0.5ppm)
高温焼却に加え、化学処理も認められている。自社保管物の処理施設有。 稼動処理施設無し